ポール・オースター 『ブルックリン・フォリーズ』

失敗をした男達と女達に再び光があてる物語。
笑いながら感極まって、今年一番の読書体験でした。
引用は、物語のエピローグにあたるパート。
自分ももっと生きていたいと思わせる。もう、他に何もいらない。

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老いかけた人間同士のセックスは、気まずい面やだれた面があったりするわけだが、そこにはまた、若い人間がしばしば気づかない優しさのようなものもある。胸はたるみ、ペニスは垂れても、肌はまだ自分の肌であって、自分が大切に思う誰かが手を伸ばして触れてくれたり、両腕に抱いてくれたり口にキスしてくれたりすれば、永遠に生きられると思っていたときと同じようにいまも体はとりけるのだ。ジョイスも私もまだ人生の十二月に達してはいないが、五月はとうに過ぎたことは間違いない。二人一緒の私たちは、いわば十月中旬か下旬の午後だった。頭上の空は活きいきと青く、空気にはぴりっと冷たいものが流れ、枝にはまだ無数の葉がついていて、大半は茶色だが金色や赤や黄色もまだ十分残っていて、人を戸外にいられるだけいたい気持ちにさせる。そんな爽やかな秋の日だった。
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家族を失い、保険会社を退職し、癌を患った主人公のネイサンは、
ブルックリンで新しい家族をみつける。
フォリーズ(follies)でいっぱいの家族だけど、ネイサンは幸せだ。
ネイサンが家族をみつけたことには、意味がある。
それをオースターは物語の最後に持ってくる。

130711

books, 2013年07月11日

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